インフルエンザの熱…どんな薬を選べば安心?

薬剤師 たまちゃん先生のプロフィール写真

薬剤師 たまちゃん

長年薬剤師として、地域の皆様の健康をサポートしてきました。 私自身も子育て真っ只中、更年期を経験しているからこそ、 同じように悩まれている方々の気持ちに深く共感できます。 ホルモンバランスの変化による体調不良や、心の揺れ動きなど、 一人で抱え込まず、ぜひお話を聞かせてください。 自身の経験に基づいたアドバイスで、皆様の心と体の健康をサポートいたします。

インフルエンザの熱…どんな薬を選べば安心?

~知っておきたい「インフルエンザ脳症」とお薬のお話~

 

インフルエンザにかかったとき、多くの方が心配されるのが「インフルエンザ脳症」です。
 日本では、タミフルと異常行動の話題から広く知られるようになりましたが、現在では 薬が原因というより、インフルエンザそのものに伴う強い免疫反応が主な要因 と考えられています。

今回は、
 ・インフルエンザ脳症とはどんなものか
 ・似た症状を起こす「ライ症候群」とは?
 ・発熱時に気をつけたい解熱鎮痛薬
 ・インフルエンザでも安心して使えるお薬
 を、やさしく解説します。

 

① インフルエンザ脳症とは?

主に 0〜5歳の小さなお子さん で見られるもので、発症して1〜2日以内に急に起こることがあります。

インフルエンザウイルスそのものが脳に入り込むケースもありますが、多くは
 体の免疫が強く反応しすぎてしまう(高サイトカイン血症)ことが原因。
 この強い反応が脳にむくみを起こし、
 ・意識がもうろうとする
 ・けいれんが起こる
 などの症状につながることがあります。

とても心配になる病名ですが、発症はまれで、正しい対応で多くは改善します。
 不必要に怖がる必要はありません。

 

② ライ症候群とは?

4〜12歳のお子さんに多く見られ、
 ・急な意識障害
 ・肝臓の働きの低下
 が特徴の病気です。

インフルエンザ脳症とは原因が全く異なり、こちらは ミトコンドリア(細胞のエネルギー工場)の働きが低下してしまうこと が大きな要因です。

現在では非常にまれな病気ですが、特定の薬が関わることが知られており、次で説明します。

 

③ 発熱時に注意が必要なお薬

③-1 インフルエンザ脳症との関係

以下の解熱鎮痛薬は、インフルエンザのときに 使わない方がよい とされています。

  • ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)

  • メフェナム酸(ポンタール)

これらは血流を下げてしまう可能性があり、脳症に悪影響を与える可能性があると考えられています。

また、この理由から
 ロキソプロフェン(ロキソニン)、イブプロフェン(イブ)なども、インフルエンザ時は基本的に避けた方がよい とされています。

③-2 ライ症候群との関係

以下の薬は 15歳未満には原則使ってはいけません。

  • アスピリン(サリチル酸)を含む薬
      例:バファリンの一部製品、幼児用PL顆粒など

ミトコンドリアへの影響から、ライ症候群のリスクがあるためです。

 

④ インフルエンザでも安心して使える解熱鎮痛薬

結論として、インフルエンザにかかった時でも安心して使えるのは アセトアミノフェン(カロナール) です。

アセトアミノフェンは、
 ・胃腸への負担が少ない
 ・腎臓にやさしい
 ・インフルエンザとの相性がよい
 ・赤ちゃんから大人まで使える
 ・妊娠中の方にも使いやすい
 など、安全性の高さが特徴です。

作用が穏やかなので「しっかり熱を下げたい」という方には物足りなく感じることもありますが、インフルエンザの時は 安全性を最優先 することが大切です。

 

⑤ では、コロナウイルスの場合は?

小児のコロナ脳症は 非常にまれ です。
 子どもはコロナに対して強い免疫暴走を起こしにくいためです。

大人でも重症肺炎に伴うケースを除き、脳炎は通常起こりません。
 そのため、コロナの場合は 一般的な解熱鎮痛薬も比較的安全に使用できます。

お子さまにとっては、コロナよりもインフルエンザのほうが神経症状に注意が必要だといえます。

 

⑥ 最後に

高熱が出ると、心配になって「とにかく早く熱を下げたい」と思うかもしれません。
 しかし、インフルエンザのときに 自己判断で市販薬を使うのは注意が必要 です。

迷ったときは、
 アセトアミノフェン(カロナール)を選ぶ
 または
 薬剤師・医療機関に相談する
 これだけ覚えておくだけでも、大きな安心につながります。