脳と睡眠の仕組み

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薬剤師 たまちゃん

長年薬剤師として、地域の皆様の健康をサポートしてきました。 私自身も子育て真っ只中、更年期を経験しているからこそ、 同じように悩まれている方々の気持ちに深く共感できます。 ホルモンバランスの変化による体調不良や、心の揺れ動きなど、 一人で抱え込まず、ぜひお話を聞かせてください。 自身の経験に基づいたアドバイスで、皆様の心と体の健康をサポートいたします。

 

 

脳には「眠りを助けるGABA(ギャバ)」と「目を覚ますオレキシン」という2つの物質があります。
最近よく使われる睡眠薬は、このどちらに作用するかによって2つに分けられます。

 

GABA作動薬

GABAの働きを強めて眠りを促す薬です。以前はよく使われていました。
薬は進化してきましたが、効果が強い分、副作用も問題になりやすいお薬です。

  • 副作用:集中力や記憶力の低下、翌日の眠気やふらつき、依存性(やめにくくなる)など。
  • 注意点:眠れないからと勝手に増やすのは危険。長く飲み続けるとやめにくくなり、結果的にずっと服用を続けてしまうこともあります。

どんな薬でも、出始めのころは問題点が分かりにくく、広く使われがちです。
今でも、昔から飲み続けている方がたくさんいます。
最近は、副作用や依存の心配が少ない「オレキシン受容体拮抗薬」がよく使われるようになっています。どのお薬が合うかは人によって違うため、医師や薬剤師に相談しながら、安全に続けられる方法を一緒に考えていくことが大切です。

 

オレキシン受容体拮抗薬

オレキシン(脳を覚醒させる物質)の働きを抑えて眠りを促す薬です。
「頭が冴えて眠れない」「考え事が止まらない」というタイプに効果があります。

代表的な薬

  • ベルソムラ(スポレキサント)
  • デエビゴ(レンボレキサント)
  • クービビック(タリドレキサント)
  • ボルズィ(ボルノレキサント/最新の薬)

特徴

  • 自然な眠りに近い形で導いてくれる
  • 認知機能や依存への影響は少ない
  • 高齢の方にも使いやすい

主な副作用

  • 悪夢・金縛り(まれに12%:自然な眠りを促すためレム睡眠が増え、夢を覚えていたり金縛りのように感じやすくなります。
  • 翌朝の眠気:特にデエビゴで多く見られます。半減期が長いため朝まで薬が残りやすいのが原因。新しい薬(ボルズィ、クービビック)では改善されています。
  • 頭痛・めまい:脳内のバランスの変化が関係していると考えられます。

副作用の出やすさは
ボルズィ・クービビックベルソムラデエビゴ
とされています。

 

まとめ

  • GABA作動薬は効果が強い一方で、依存や認知機能への影響に注意が必要。
  • オレキシン受容体拮抗薬は副作用が少なく、自然に近い眠りをサポート。
  • どの薬でも「正しい使い方」が一番大切。自己判断で増やしたり長期間飲み続けるのは避けましょう。

睡眠薬はあくまでサポートです。生活習慣の改善とあわせて、医師や薬剤師に相談しながら安全に使っていきましょう。