
9月に入ると朝晩が涼しくなり、夏の疲れを感じると同時に「食欲の秋」がやってきます。涼しさとともに基礎代謝が少しずつ高まり、体が自然とエネルギーを求めるようになるのはとても自然なこと。しかしそのまま欲望にまかせて食べすぎてしまうと、体重増加や胃腸への負担につながります。秋の味覚を楽しみながらも上手に食欲をコントロールするための栄養法をお伝えします。
1. 血糖値を安定させる「食物繊維」
食欲の波を左右する大きな要因の一つが血糖値です。血糖値が急激に上がると、すぐに下がってしまい「もっと食べたい」という欲求が強まります。これを防ぐには、食物繊維を意識するのがポイントです。
さつまいもやきのこ、根菜類は秋に旬を迎える食材であり、血糖値の上昇を緩やかにして満腹感を持続させてくれます。ご飯に雑穀を混ぜるのもおすすめです!
2. 良質なタンパク質で満足感を
「お腹は満たされているのに、何か食べたい」という気持ちが起こるとき、実はタンパク質が不足していることがあります。タンパク質は筋肉やホルモンをつくる材料となるだけでなく、満足感を高める栄養素でもあります。秋鮭やさんまなどの魚介類、鶏むね肉や豆腐などを意識して取り入れると、余分な間食を防ぎやすくなります。特に魚にはDHAやEPAといった良質な脂質も含まれており、脳の働きにもプラスに作用します。
3. 食欲をリセットする「噛む力」
秋の味覚はどれも美味しいものばかり。栗、梨、ぶどう、きのこ……。ついつい食べすぎてしまうときは「噛む回数」を意識してみましょう。噛むことで満腹中枢が刺激され、自然と食べ過ぎ防止につながります。きのこや根菜など、噛みごたえのある食材を取り入れるのは、栄養面でも食欲コントロールの面でも一石二鳥です。
4. 温かい汁物で心と体を落ち着ける
涼しくなり始めた9月は、冷たい飲み物や食べ物で弱った胃腸を休めるのにも良い時期です。味噌汁や具だくさんスープを食事の最初にいただくと、自然と食べすぎを防ぎ、体もホッと落ち着きます。発酵食品である味噌は腸内環境を整え、免疫力アップにも役立ちます。
5. 「食べちゃダメ」より「上手に楽しむ」
秋の味覚を完全に我慢する必要はありません。旬の果物や栗ご飯など、秋ならではの食材を取り入れることで季節を楽しむことも大切です。ただし「量」と「タイミング」を意識しましょう。例えば果物は朝や昼に楽しむと消費しやすく、夜遅くに甘いものを食べるよりも体にやさしい選択となります!
秋は心も体も豊かにしてくれる実りの季節です。大切なのは「食欲を抑える」ことではなく、「食欲とうまく付き合う」こと。食物繊維やタンパク質を意識し、旬の恵みをバランスよく取り入れることで、秋の美味しさを楽しみながら健康的に過ごしていきましょう。