薬疹についてちょっと難しい話―1

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薬剤師 たまちゃん

長年薬剤師として、地域の皆様の健康をサポートしてきました。 私自身も子育て真っ只中、更年期を経験しているからこそ、 同じように悩まれている方々の気持ちに深く共感できます。 ホルモンバランスの変化による体調不良や、心の揺れ動きなど、 一人で抱え込まず、ぜひお話を聞かせてください。 自身の経験に基づいたアドバイスで、皆様の心と体の健康をサポートいたします。

 

 

 

薬疹についてちょっと難しい話―1

 

薬疹とは、薬によって引き起こされる皮膚障害のことを指します。

多くは薬剤に対するアレルギー性のものであり、軽症なものから命を脅かす重症なものまであります。

 

薬疹は初回の薬に対しては起こりません。

初回服用した薬に対して免疫を獲得した後、その薬を再度服用する事により、アレルギー反応による薬疹を引き起こします。この免疫を獲得するまでに10〜14日かかりますので、初回服用してから10日以上経過した後、その薬を服用して、数10分後(即時型蕁麻疹)か1日〜2日後(遅延型発疹)に薬疹を引き起こします。

なので、

「初回から10日ほど継続している薬」か、

「10日以上空いて久しぶりであり、薬疹が起こる直前に服用した薬」が原因薬と考えます。

つまり、前に一度服用して問題のなかった薬が原因薬剤、となるので注意が必要です。

また、例えば、初回服用から5日間しか経っていない薬は原因薬剤とは考えない、という事になります。

 

薬疹の現れ方は、全身に紅斑が現れる場合が多いですが、全身ではなく、一部に固定疹として現れる場合もあります。

これらは、薬剤を中止することで治まりますが、アナフィラキシーショックを起こす事もあるので、一度薬疹を起こした薬剤は避けていく必要があります。

また、重症な薬疹として、スティブン・ジョンソン症候群や薬剤性表皮壊死症、ウイルスによる薬剤性過敏症候群などがあります。発熱や倦怠感を伴う皮膚障害として現れます。

これらは、薬剤を中止してもどんどん悪化していくので、放置せずすぐに医療機関で対応することが大切です。

 

服薬中に、皮膚障害が現れた時は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。

 

薬剤の説明には、「かゆみが出る事があります…」と書いてあります。

これは、上記のようなアレルギー反応が起こる事への注意喚起ですが、すべての薬について言える事になります。