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薬剤師 ひらりん

こんにちは!薬剤師のひらりんです。 手作り石鹸やハーブ、発酵食品などを取り入れ、自然と調和した生活を心がけています。 心と体の健康は密接に繋がっていると実感しています。 薬剤師として、皆様の健康をサポートするだけでなく、 自然の恵みを活かした健康法などもお伝えできればと思っています。

 

はじめまして 薬剤師のひらりんです。

私はたびたび沼にはまる習性があり、ここ1年くらいは発酵沼の中に居ます。

10年以上前に塩麹が流行り、和食の無形文化遺産登録、新型コロナウイルスの流行などもありました。色々な要素に後押しされ、健康や美容に発酵食品が良いと発酵ブームが続いていて、既に生活に取り入れている方も大勢いらっしゃることでしょう。

私もその一人、ビギナーではありますが学んだことや愉しんでいることをつぶやいてみたいと思います。

 

そもそも発酵とは何でしょう?

キーワードは『微生物』

目に見えない自然界の仲間達が、せっせと働いてくれているのです。と言っても彼らは自身の生命活動をしているだけで、人間がその恩恵にあずかっているという状態です。

微生物が食物などの成分を分解・変化させ、人間にとって有益であれば“発酵”

腐らせ臭いや味を悪化させ、毒素を出すなど人間にとって有害であれば“腐敗”

そのボーダーラインはあやふやで、受け取る側の人間の文化や都合にもよります。

ホント 勝手ですよね。

 

発酵食品というとどんなものを思い浮かべますか?

醤油、味噌、酢、味醂、清酒、焼酎、ワイン、甘酒、糠漬け、納豆、鰹節、チーズ、ヨーグルト、キムチなどなど 次から次へと出てきます。

 

発酵食品の魅力って? 

 

もともと発酵は食材を保存するための知恵であり、保存技術のない時代に考えられて発展してきたものです。大昔の人々は微生物の存在なんて知りません。結果的に食材の①保存性 ②栄養価 ③美味しさ、人間にとって④吸収率 ⑤腸内環境が良くなるという素敵な食品に変化したのです。先人の知恵と微生物さんありがとう!と思わず叫びたくなってしまいます。

 

発酵に関わる微生物って?

乳酸菌はヨーグルトを作ってくれるし、最強と言われる納豆菌、酵母はお酒やパンを、カビはブルーチーズや鰹節。その中でも日本人であれば、カビの仲間である麹菌を愛でて欲しいと思うのです。

麹は麹菌(種麴)を蒸した米・麦・大豆などに繁殖させて作った加工品です。この麹が味噌や醤油、清酒の原料になって働いてくれています。

麴菌は繁殖するときに100種類以上の酵素を作り、菌体が死んだ後も酵素が活躍してくれます。デンプン分解酵素のアミラーゼ、タンパク質分解酵素プロテアーゼ、脂肪分解酵素のリパーゼなど。繁殖時の温度や湿度、時間などによって、麹の個性が出てきます。

麹屋さんに種麹を供給する種麹屋さんは、室町時代から幕府のお墨付きをいただいて麹菌の分離精製 純粋培養を行ってこられたそうで、ここにも歴史のロマンを感じてしまいます。

 

発酵に何を求め、愉しむかは自由で、私の場合は微生物との共生、新たな食材との出会い、発酵食品を通して地域の文化に触れるといったところでしょうか。

 

我が家のヨーグルトメーカーは安価であったにも関わらず、いい仕事をしてくれます。

寝る前に牛乳にプレーンヨーグルトを投入、408時間にセットして就寝、朝起きた時には乳酸菌たちが増えまくって おはようの挨拶で1日が始まります。

米麹と水を混ぜ6012時間で甘酒、小豆を煮て麹を混ぜ6014時間で発酵あんこなど、麹の酵素が働きやすい環境を整えてあげるだけで、出来上がります。

甘酒は麹によって甘さも違い、黒麹(焼酎麹)ではクエン酸発酵で酸っぱい甘酒ができました。作った甘酒をアレンジするのも楽しいひと時です。

味噌屋さんの麹は大豆たんぱくを分解するためのプロテアーゼ活性が優位の為、甘酒には向かないから酒屋さんの麹の方がいいよとか、甘酒だけでも奥が深い。ちなみに売っている塩麹は出荷前に火入れをしている為、酵素活性が弱くなっています。簡単なので手作りがお勧めです。

 

話は変わりますが 私の地元の方に「すんき」という塩を使わない漬物があります。赤カブの葉を刻んで、乳酸発酵させたもの。昔は少量分けて頂いたものに葉っぱを足して風呂敷に包まれた容器をコタツの中に何日か放置していました。その間何度蹴ったことか。

それが東京農大の先生や海外の発酵の神様の目に留まり、赤カブに住み着いた新種の乳酸菌が発見されたりと いつの間にか発酵界のレアキャラになっていました。塩が貴重な環境で、いかに保存食をつくるかと300年以上前に起源があるそうです。昨年仕込みの時期に体験講座に行き、満員御礼の盛況ぶりで、郷土を見直すきっかけにもなりました。

 

長々とつぶやいてきましたが、自分に心地の良いことを見つけて、暮らしに取り入れていければ幸せ!と思う今日この頃です。

人間も自然の一部、人の体にも常在菌や腸内細菌などの微生物が居て、ともに暮らしています。是非彼らと仲良くして、健康に楽しい毎日をお過ごしください。